サイト管理人 |
あさぎ行政書士事務所
行政書士 森 圭
愛知県行政書士会 中央支部所属
会員番号 第5154号
1974年10月3日生
愛知県名古屋市中区金山一丁目2番13号 シェルコート金山502号
行政書士としての経験を生かし、みなさんのお手伝いができればと、このサイトを立ち上げました。
相続手続や遺言書作成の参考にしていただければ幸いです。
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遺留分 |
民法は相続財産の分配方法について規定していますが、被相続人が遺言などで遺産分配の方法を指定している場合は、被相続人の意思が優先されます。例えば、被相続人に妻と子がいる場合、法定相続分に従えば遺産は妻が2分の1、子が2分の1の割合で分配されますが、被相続人が遺言で遺産はすべて妻に相続させると意思表示した場合、その遺言に従い、遺産はすべて妻が相続することになります。
しかし、民法は被相続人の意思によっても奪えない、一定の相続人に一定の相続財産を留保する制度を設けました。これが遺留分制度です。これにより、被相続人による遺留分を侵害する遺産の処分は、遺留分減殺請求の対象となります。もっとも、遺留分を侵害する遺産の処分であっても、減殺請求が無い限りは有効とされています。
◆ 遺留分権者と遺留分の割合
遺留分を有するのは兄弟姉妹以外の法定相続人、すなわち配偶者、子、直系尊属です(民法第1028条)。胎児と代襲相続者も含まれます。遺留分の割合は直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産全体の3分の1、相続人がそれ以外の場合は被相続人の財産全体の2分の1です。
具体例1
◆ 被相続人には妻と長男と長女がいた。遺産の総額は2000万円であった。各相続人の遺留分額はいくらになるか。
被相続人に配偶者と子がいる場合なので、遺留分の割合は相続財産全体の2分の1となる。これに各相続人の法定相続分を掛けると、遺留分額は次のようになる。
妻 2000万円 × 2分の1 × 2分の1 = 500万円
長男 2000万円 × 2分の1 × 4分の1 = 250万円
長女 2000万円 × 2分の1 × 4分の1 = 250万円
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◆ 遺留分の算定方法
相続開始時の相続財産に被相続人が贈与した財産を加え、相続債務を控除します。相続人に特別受益が有る場合にはこれも加算します。
贈与した財産には遺贈の他、被相続人が相続開始前の1年間にした贈与(1年以上前でも契約当事者の双方が遺留分権者に損害を加えることを知って贈与したときは、算入される)が含まれます。
算出された額に遺留分率を掛けます。
◆ 遺留分減殺請求の相手方
減殺請求の相手方となるのは、遺留分を侵害する額の遺贈または一定の生前贈与を受けた受遺者、受贈者です。
◆ 消滅時効・除斥期間
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、または相続開始のときから10年のどちらかの期間が経過すると行使できなくなります。前者は消滅時効、後者は除斥期間とされます。
特に消滅時効の1年はあっという間に過ぎますので、遺留分を主張する場合は早めの対応が要求されます。
◆ 遺留分減殺請求の方法
遺留分減殺請求に決まった様式はなく、書面等で相手方に減殺請求の意思を伝えます。ただし、確実に時効中断の効果を生じさせるため、請求は内容証明郵便で行うとよいでしょう。単に遺産分割を要求したり、遺産分割の調停手続をとるだけでは遺留分減殺請求をしたことにはならず、時効は中断しないので注意します。
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